【開催報告】東京2020大会レガシー継承セッション~愛知・名古屋2026大会に向けて~
2025年7月18日
スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム(以下、「SFTC」という。)では、2025年7月9日(水)、名古屋市内にて、愛知県、名古屋市、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会との連携のもと、「東京2020大会レガシー継承セッション ~愛知・名古屋2026大会に向けて~」を開催いたしました。
本セッションは、愛知・名古屋2026大会に関連するスポーツ国際交流事業の方向性や現場からの課題・ニーズを踏まえて、その具体的な取組の検討や実現に向けた一助となることを目的に実施されたものです。
あわせて、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会(以下、「東京2020大会」という。)を契機に各地で展開・継続されてきた国際交流・協力の取組に関する知見や事例の共有、および関係者との意見交換を通じて、今後の実践に資する学びとつながりを育む場となることを目指しました。
当日は、愛知県内の自治体を中心に、スポーツ団体、民間企業、NPO・NGO、大学・研究機関などから83名が参加しました。
後半のテーマ別交流セッションでは、登壇自治体との直接的な対話や、参加者同士の意見交換を通じて、多様な視点からの気づきや今後の連携のヒントが得られる場となりました。
■ セッション概要
- 日時:2025年7月9日(水)14:00~17:00
- 会場:アーバンネット名古屋ネクスタカンファレンス(名古屋市)
- 形式:対面開催
- 主催:スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム事務局(独立行政法人日本スポーツ振興センター)
- 協力:愛知県、名古屋市、公益財団法人愛知・名古屋アジア・アジアパラ競技大会組織委員会
■ 第一部:SFTの紹介と愛知・名古屋2026大会に向けた計画の共有
セッションは、スポーツ庁の庄司正人氏による開会挨拶で幕を開け、その後、SFTC事務局の阿部篤志から、SFT及びSFTCの活動概要と本会の趣旨が紹介されました。
続いて、愛知県の髙橋直美氏からは、愛知・名古屋2026大会を契機とした地域活性化の計画や現在の取組状況について共有がありました。
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日本スポーツ振興センター 総合企画部 | 愛知県 アジア・アジアパラ競技大会推進局 |
■ 第二部:東京2020 大会を契機に実施されたホストタウン事業とレガシーに関する概要と事例紹介
第二部では、初めに東京女子体育大学の笹生心太氏および拓殖大学の松橋崇史氏から、ホストタウン事業の目的や意義、レガシー形成についてご講演いただきました。
笹生氏からは、ホストタウン事業の背景や、自治体の登録状況、ホストタウン事業の実施体制や相手国とのマッチングなど、ホストタウン事業の全体像について解説がありました。
松橋氏からは、2002年のFIFAワールドカップ、2019年のラグビーワールドカップ、そして東京2020大会といった過去の国際大会を比較しながら、各地で取り組まれてきた交流事業が、地域にどのような形でレガシーとして根づいてきたかについて、知見が示されました。
参加者からは、「単なる国際交流ではなく、ホストタウン事業の取り組みがまちの課題解決につながることを学んだ」という声もありました。
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東京女子体育大学 体育学部 体育学科 准教授 | 拓殖大学 商学部 教授 |
続いて、7つの自治体(秋田県大館市、秋田県にかほ市、福島県福島市、東京都足立区、神奈川県平塚市、静岡県牧之原市、鹿児島県大崎町)から、ホストタウン事業を起点に現在まで継続されている国際交流や地域のレガシーに関する事例報告が行われました。
各自治体の発表では、ホストタウンでの国や地域との交流を出発点に、スポーツ、教育・福祉・観光・地域経済といった分野に活動を広げている様子が共有され、事前キャンプ、オンライン交流、姉妹都市提携や共生社会づくりなど、背景や発展の仕方はさまざまで、それぞれの地域性が反映された多様なアプローチが紹介されました。
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「市民と共に育んだリトアニアとの友好の絆」 | 「五輪後のレガシーを見据えた牧之原市の取組」 |
「台湾陸上競技協会との交流 ~ホストタウン登録から現在に至るまで~」 |
★参加者の声:
〇福島市のようにホストタウンで培った関係を行政の体制整備にまで発展させている事例には、驚きとともに強い印象を受けた。
〇平塚市の“リトアニアウィーク”のように、継続的なイベントで国際交流を根づかせている点が印象的だった。
〇大館市の“ボッチャのまち宣言”に加え、まちの機運醸成や住民への認知度向上の工夫についても、参考になる点が多くあった。
■ 第三部:テーマ別交流セッション
第三部では、登壇自治体を囲む形で少人数による交流セッションが2ラウンドに分けて実施されました。各自治体の現場担当者と直接対話できる形式で、より深い情報交換や相互理解が生まれ、ネットワーキングの場としても活用されました。
対話の中では、国際交流のあり方や地域におけるレガシーの意義といった広い視点から、対象国との連絡手段、既存施設の活用、庁内連携の方法など、より実務的な課題に至るまで、幅広いテーマで意見交換が行われました。参加者からは、「自地域に戻っての実践に向けたヒントが得られた」との声も聞かれました。
ある参加者からは、「牧之原市のようにスポーツを起点とした国際交流から産業や教育にも展開している事例を聞けて刺激になった」とのコメントもあり、各地の実践知に学ぶ場として意義深いものとなりました。
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★参加者の声:
〇姉妹友好都市等の活用や庁内他局とのさらなる連携が必要であると感じた。
〇ふるさと納税やクラウドファンディングを活用した交流のアイデアを得た。
〇今回の講演をヒントに今後地方自治体と協力して地域振興を図る方法を模索したい。
■ 今後に向けて
本セッションでは、東京2020大会を契機として展開されたホストタウン事業を中心に、各地の国際交流・協力の実践や、その後の継続的な取り組みの知見や教訓が共有されました。
登壇自治体と参加者、さらには参加者同士の間でも、地域の実情を踏まえた率直な対話が交わされ、多様な立場を越えた共通の課題意識や、新たな連携の可能性が見出される機会となりました。
SFTでは、こうした対話の芽を具体的なアクションへと発展させ、愛知・名古屋2026大会を契機としたスポーツを通じた国際交流・協力の推進、および持続可能なレガシーや社会的インパクトの創出に資するよう、今後も関係者の皆様と連携して取り組んでまいります。
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