困難を乗り越え29年ぶりのパラリンピック大会に臨むイエメン

この記事は2021年7月22日に国際パラリンピック委員会(IPC)ニュースに掲載されたストーリーを日本語翻訳したものです。原文はこちらからご覧いただけます↓
Yemen battling all odds to end 29-year wait

日本体育大学が実施する戦略的二国間スポーツ国際貢献事業「パラリンピック参加国・地域拡大支援」の対象となっている各国パラリンピック委員会の取り組みをご紹介します。


困難を乗り越え29年ぶりのパラリンピック大会に臨むイエメン
~紛争下でもトレーニングを続けるパラアスリートたち~

中東のイエメンは29年間の長い歳月を経て、東京で開催されるパラリンピック競技大会に出場することが決まった。2014年からの内戦で荒廃したイエメンにとってパラリンピック出場が障がい者に希望を与え、スポーツを発展させていくことをアスリートたちは願っている。

イエメンが最後にパラリンピックに参加したのは1992年バルセロナ大会。3人のパラアスリートが初出場を果たした。東京2020パラリンピックでは、女子砲丸投げ(F57)のBelqes Ahmed Hezam Taresh選手と男子砲丸投げ(F57)のNaseb Fateh Mohammed Al Raoad選手の2人が出場する。

選手団長でイエメンパラリンピック委員会の副事務局長Amal Haza Ali Munassar氏は、今回のパラリンピック参加がイエメンの復興に重要な役割を果たすことを期待している。
「私たちはパラリンピックに参加できることを誇りに思っています。戦争で競技場やインフラが破壊される厳しい状況の中でのパラリンピック参加はとても特別なことだと信じています。」
「東京2020パラリンピックへの参加がイエメンのパラアスリートたちに希望と活躍の機会を与え、スポーツによって多くの成果が達成されることを期待しています。」

戦争でスポーツ施設のほとんどが破壊されてしまったため、アスリートたちは長い間トレーニングをすることすら困難だった。しかし東京2020パラリンピックの出場権を獲得すると、アスリートたちの興奮は頂点に達した。

国際パラリンピック委員会(IPC)からワイルドカード(特別参加枠)を付与されたアスリート2人は、パラリンピックの舞台で良い成績を残すことはもちろん、イエメンの多くのパラアスリートたちを勇気づけることを願っている。2021年3月にチュニジアで開催されたTunis 2021 Grand Prixには、IPCメンバーシッププログラムの支援でアスリート2人が参加することができた。

東京2020パラリンピックで注目されることを願っているAl Raoad選手は、「イエメンのスポーツ施設のほとんどが破壊され、練習場所も確保できず、トレーニングをするのに多くの困難に直面してきました。この素晴らしい大会に参加できることを非常に嬉しく思いますし、イエメンを代表できることを誇りに思います」と語り、「東京2020パラリンピックへの参加は私たち2人にとってだけでなく、イエメンの障がい者コミュニティ全体にとって歴史的なものとなるでしょう。そしてパラスポーツが彼らの人生における希望の光となることを願っています」と締めくくった。


写真:ⒸYemen NPC

(スポーツ・フォー・トゥモロー事務局翻訳)

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