【開催報告】コーチ育成プログラムデザインのためのワークショップ

2025年9月1日

実施報告

 

スポーツ・フォー・トゥモロー・コンソーシアム事務局は、2025年8月5日から7日にかけて、令和7年度スポーツ庁委託事業「ポスト・スポーツ・フォー・トゥモロー推進事業」(以下「SFT」)の一環として、ASEANおよび東ティモールを対象に「コーチ育成プログラムデザインのためのワークショップ」を開催しました。本事業は、昨年度に引き続き実施されたものです。

本取組は、2023年9月にタイ・チェンマイで開催された第4回日ASEANスポーツ大臣会合において採択された「チェンマイ宣言」に基づいています。同宣言では、2030年に向けた日ASEAN間のスポーツ協力強化のための優先分野に「スポーツマネジメント」が新たに追加され、その中でも「スポーツ指導者の育成」がニーズの高い項目の一つとして位置づけられました。

今回のワークショップでは、前年度に実施したスタディツアーに続く実践的な取組として、ASEAN各国が今後展開を予定しているスポーツ指導者育成講習会の試験的プログラムを作成し、具体的なアクションプランの策定を行いました。競技種目やレベルを問わず「コーチ」として必要な学びを提供する育成プログラムを、⽇本が推進する“学習者中心(アスリート/ラーナー・センタード)”の理念に基づき、各国の実情に合わせて設計することを目指しました。

<講義団体/登壇者とプログラム風景>

【Day 1】学習者中心(ラーナーセンタード)」の理念を体験的に学ぶセッション

初日は、昨年2024年に実施したスタディツアーからの進捗報告および意見交換を行い、成果や課題などを共有しました。その後、日本体育大学・伊藤雅充氏の講義を通じて、「学習者中心(ラーナーセンタード)」の理念を体験的に学びました。参加者は、学びを促す指導者の在り方について理解を深めました。午後には、国立スポーツ科学センター(NTCイースト)を視察し、日本のハイパフォーマンス拠点の施設や選手育成の取組などについて学びました。

【イントロダクション】

 

【各参加国からの進捗報告】

 

【ラーナーセンタード】
日本体育大学/伊藤 雅充 氏

【NTCイースト視察】

 

【Day 2】多様なテーマを通じた指導者育成ワークショップ

2日目は、「セーフスポーツ」「ジェンダー」「パラスポーツ」など包摂的で安全なスポーツ環境づくりを目指し、講義を通して多様な指導の視点について触れるだけでなく、各テーマをどのように各国の状況に合わせて取り込むことができるかを参加者同士で議論しました。午後は、翌日の発表に向けて各国チームが育成プログラムの設計を進め、理念を自国の課題にどう生かすかを検討しました。

【セーフスポーツ】
スポーツシンガポール/EMILY LIM SU LIN ELAINE 氏

【ジェンダーとスポーツ】
成城大学/野口 亜弥 氏
 

【パラスポーツ】
日本パラスポーツ協会/安岡 由恵 氏
 

【ディスカッション】

 

【Day 3】参加国によるコーチ指導者育成のプログラムデザインと成果発表

最終日は、Day 1とDay 2の学びを基に、各国が自国の指導者育成プログラムを設計しました。プログラムは指導者資格更新講習会を想定し、3日間の全体的なプログラム構成とラーナーセンタードに基づいた1セッションを詳細に作成することを目指しました。発表後の意見交換では、各国の特徴や共通課題を共有し、今後の協力の方向性を確認しました。

【コーチ育成講習会のプログラムデザイン】

 

【セッションプランニング】

 

【アクションプランの更新】

【振り返り】

 

★参加者の声:

〇私たちを再びこのワークショップに招待してくださったことに心から感謝いたします。ワークショップを通して非常に多くのことを学びましたし、今後この知識をフルに活用して、スポーツを通じてブルネイがさらに成長するのを手助けしたいと思います。(ブルネイの参加者)

〇ASEAN加盟国が一堂に会して、一緒に学び合うことが非常に重要であり、それがASEANの成長にも繋がります。また、人材育成や健康増進、経済などのASEANの全体的な成長に対してもスポーツが貢献すると思っています。(ASEAN事務局)


参加者は、ゲームやグループワークを通して「学習者中心(ラーナー・センタード)」の考え方を体験的に学び、自国の指導者育成にどのように応用できるかを議論しました。その過程で、ASEANの現状や課題を共有し、文化や言語など共通点を持つ国同士の協力関係が芽生えるなど、今後の連携に向けた可能性が示されました。

また、ASEAN域内では、言語や文化の近い国々が協力し合う姿も見られ、将来的な地域連携の発展が期待されます。本ワークショップは、ASEANにおけるスポーツ人材育成の推進に寄与するとともに、日ASEAN間の一層の協力関係強化にもつながる意義深い取組となりました。

SFTでは、ASEAN各国におけるスポーツ指導者育成システムの構築と、それを通じた各国間の関係深化を支援し、「ポストSFT」時代のレガシーとして、日ASEANのスポーツ発展を支える基盤づくりを進めていきます。

***

本件に関連する取組の詳細については、以下よりご覧いただけます。
〇2024年度「コーチ育成システム発展のための政策立案・能力開発を目的としたスタディーツアー」
👉(日本語)(英語)

〇2025年度「コーチ育成プログラムデザインのためのワークショップ」
👉(日本語)(英語)

 

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