ブータン 初パラリンピック出場で歴史を創る

この記事は2021年7月17日に国際パラリンピック委員会(IPC)ニュースに掲載されたストーリーを日本語翻訳したものです。原文はこちらからご覧いただけます↓
Bhutan Para athletes out to make history on Paralympic debut

日本体育大学が実施する戦略的二国間スポーツ国際貢献事業「パラリンピック参加国・地域拡大支援」の対象となっている各国パラリンピック委員会の取り組みをご紹介します。


ブータン 初パラリンピック出場で歴史を創る
~2年前、パラ陸上をはじめてから私の人生は大きく変わった~ 

ヒマラヤ山脈に佇む小さな仏教王国ブータン。東京2020パラリンピックでの活躍が期待されている。
2017年に国際パラリンピック委員会(IPC)に加盟したばかりのブータンパラリンピック委員会から4人のアスリートが東京2020パラリンピック出場を目指している。Gyeltshen Gyeltshen選手は男子砲丸投げ(F40)、Chimi Dema選手は女子砲丸投げ(F40)の出場が決まっている。一方、射撃女子10mエアライフル(SH1)のKinley Dem選手と男子アーチェリー・リカーブのPema Rigsel選手は出場枠の獲得を目指している。

Beijing 2019 World Para Athletics Grand Prixで国際試合デビューを果たしたGyeltshen選手とDema選手は、ドバイ2019世界パラ陸上競技選手権で東京2020パラリンピックの出場権を獲得した。
「ブータンのアスリートたちは東京2020パラリンピックに向けてトレーニングを行ってきました。彼らが素晴らしいパフォーマンスを見せてくれると確信しています。願わくは、IPCと国際競技連盟(ISF)がDem選手とRigsel選手にもバイパルタイト(救済枠)を付与してくれればと思います」とブータンパラリンピック委員会の選手団長Namgyal Wangchuk氏は述べている。Dem選手とRigsel選手は、2017年にブータンパラリンピック委員会がIPCとアジアパラリンピック委員会(APC)に加盟した後、インドネシア2018アジアパラ競技大会にブータンから初めて出場したアスリートである。

Gyeltshen選手とDema選手についてWangchuk氏は、最低出場資格基準(MQS)を満たすために2018年からトレーニングを積み、Beijing 2019 World Para Athletics Grand Prixに参加したと振り返る。
「両選手ともドバイ 2019 世界パラ陸上競技選手権でMQSを達成し、東京2020パラリンピックに向けて準備してきた。ワールドパラアスレティクスからアスリート枠が与えられたことを非常に嬉しく思います」と語るWangchuk氏は続けて、「アスリートたちは自身の能力を最大限に発揮し、パフォーマンスレベルが向上することを期待しています。また彼らが経験を積むことで自信を持つようになることを望みます」と語った。

2年前のBeijing 2019 World Para Athletics Grand PrixでDema選手とGyeltshen選手は自己ベストを更新し、夢のようなデビューを果たした。Gyeltshen選手は6.04メートル、Dema選手は4.29メートルを記録し、ドバイ2019世界パラ陸上競技選手権の出場権を獲得した。
「この1年間、新型コロナウイルス感染症の影響で大変でした。それでも諦めることなく、家でトレーニングを重ねてきました。私の目標は自分の国の誇りになること。パラリンピックでメダルを狙います」とドバイで自己ベスト4.51メートルを更新したDema選手は語った。
「この3年間で成し遂げた成果を振り返ると自分自身を誇りに思えます。両親も私を誇りに思っています。 2年前にパラ陸上を始めてから私の人生は大きく変わりました。今では様々な団体からサポートを受け、競技に専念することが出来ています。」

ドバイ2019世界パラ陸上競技選手権で自己ベスト6.29メートルを更新したGyeltshen選手にとって、東京2020パラリンピックに出場することは夢であった。彼はパラリンピックが厳しい挑戦になると理解した上で、ベストを尽くす準備は出来ていると言う。
「東京2020パラリンピックまでたどり着けて素晴らしい気分です。多くのチャンピオンたちが競い合う厳しい挑戦になりますがベストを尽くします。この大会は素晴らしい学びとなるでしょう。私たちは努力を続け『私たちにはできる。私にはできる。』そう信じ続けるべきです。」トラシヤンツェ地区の人里離れた村出身の28歳Gyeltshen選手はそう語った。

ブータンパラリンピック委員会は設立されたばかりだが、2024年パリ大会に多くのパラアスリートを輩出するためにアスリートの発掘・育成に尽力しているとWangchuk氏は付け加えた。
「今大会にブータンから4人のアスリートが3競技に出場する予定だ。私たちはアスリートを発掘・育成する準備を進めており、次の大会では更に多くのトップアスリートを輩出することができるだろう。国王と政府からの支援を得て、アスリートと関係者の健康と安全を確保するためにあらゆる措置を講じている。」
Dema選手とGyeltshen選手は成績にかかわらず、ブータンからパラリンピックに出場する初のアスリートとして歴史を創ることになるだろう。

(スポーツ・フォー・トゥモロー事務局翻訳)

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