ルワンダ・ゴルフ・シーローズ・プロジェクト(GRSP)(2024)
■事業内容
①女子プロゴルフ選手、及び、女子プロコーチの育成(首都キガリに女子国家代表育成の為のゴルフアカデミー設立)、➁ルワンダ国初のパブリックゴルフ練習場の建設と運営(予定)、③周辺国からのゴルフ留学生の誘致(既にケニアから第一号留学生_女子2名_を受け入れた)、④KLPGA(韓国女子ゴルフ協会)とKLPGA4部ツアー(KLPGAアフリカツアー)の設立を企画中
■事業実施経緯
【ミャンマーからルワンダへ、そしてアフリカの女性ゴルファー育成への挑戦】
このプロジェクトは、当初ミャンマーでの事業を計画していましたが、パンデミックとクーデターという想定外の事態により挫折を余儀なくされました。
しかし、その中でルワンダとの「奇跡的な出会い」がありました。ルワンダと神戸市との特別な関係が、新たな事業の方向性を示唆しました。
【ルワンダへの方向転換とプロジェクトの立ち上げ(2022年)】
ルワンダをはじめとするアフリカ諸国の多くの少女たちは、スポーツへの才能と情熱を持ちながらも、資金不足、トップレベルのコーチ不在、そして「女性は家庭を守るべき」という社会的偏見により、スポーツの夢を諦めざるを得ない状況にありました。
そこで、私たちは、志を共にする投資家、スポンサー、ドナーの支援を受け、2022年に新たなプロジェクトを立ち上げました。このプロジェクトは、困難に直面する才能ある若い女性アスリートを全国から発掘し、世界最高峰のゴルフ・トレーニング(韓国式スイングメソッドと日本式禅マインドフルネスを融合させた合宿式アカデミー)を無償で提供することを目的としています。彼女たちのポテンシャルを最大限に引き出し、ルワンダからアフリカの誇りとなる「シーロー(女性のヒーロー)」を輩出し、2028年のロサンゼルス・オリンピックへの初参戦を目指しています。
【日本での準備とルワンダ政府・ゴルフ連盟との協力関係の構築(2022年〜2023年)】
2022年11月末には、ルワムキョ在日ルワンダ大使の紹介で初めてルワンダを訪問し、当時のスポーツ大臣(ミモザ氏)と面談しました。その後9か月にわたり、現地パートナーを通じてルワンダのスポーツ省、ゴルフ連盟と交渉を続け、協働でプロジェクトを推進するための関係を築きました。
2023年9月: ルワンダスポーツ省の正式承認のもと、ルワンダゴルフ連盟とプロジェクト推進のためのパートナーシップMOU(了解覚書)に署名調印。
2023年12月: ルワンダオリンピック組織委員会とも同様にパートナーシップMOUに署名調印。
(参考情報:PR TIMES記事)
【資金集めの難航とルワンダへの移住(2024年)】
ルワンダ政府機関やゴルフ連盟とのMOU締結後も、スポンサーやドナー、投資家を見つけることは容易ではなく、厳しい局面が続きました。しかし、代表の野田と野本は決断し、少額の個人投資家からの投資金と寄付、そして自己資金をかき集め、プロジェクトを前進させるためにルワンダへの移住を決行しました。
2024年6月22日: 二人はルワンダの首都キガリへ出発。
2024年7月11日: キガリ市のギソジ地区に全寮制女子ゴルファー養成ゴルフアカデミーを設立。アカデミー用の施設と2年間の賃貸契約を締結し、Z2移民ビザも申請・取得しました。
【リクルート活動の開始とアカデミー選手の選抜】
ルバブ、ムサンゼ、ブタレ、ニャンザ、キガリなどルワンダ全国各地を訪問し、身体能力の高い18歳から23歳のルワンダ人女性約80名と面接を行いました。
選抜プロセス:
2時間の身体能力テスト
1週間の合宿テスト(距離感、方向性感覚、吸収力、上達スピード、コミュニケーション能力)
1ヶ月間の最終合宿テスト
この厳選なプロセスを経て、最終的に6名の選手が採用されました。
その後、通訳同行で全国に散らばる彼女たちの実家を訪問し、9月から始まる6ヶ月間の合宿トレーニングのために、キガリのアカデミーで預かることへの同意書を両親と本人から取得しました。
【アカデミーでの劇的な成長とゴルフ連盟との軋轢(2024年7月以降)】
本格的なリクルート活動を開始した7月以降、ほぼ10月末までの約4ヶ月間、国内唯一の18ホールゴルフコースと130m以上打てる練習場の両方を一切使わせてもらえないという信じられない状況に直面しました。
この間、宿舎兼アカデミーでできるトレーニングは限られていました。パッティングマットでのパッティングとチッピング練習、草の生えた庭でのチッピング練習、敷地内の石畳の駐車場での素振り、メンタルゲームの講義、リビングと駐車場での筋力トレーニング、宿舎周辺のランニングのみでした。
しかし、オヘッドコーチの指導のもと、選手たちは毎日6〜7時間の過酷なトレーニングを続け、急速に成長していきました。実際にボールを使った練習はチッピングとパッティングだけで、30m以上のショットは素振りだけで、実際のボールを打つ経験はありませんでした。
【育成したシーローズの成長が全ての流れを変える】
ようやくゴルフコースの練習場を使える機会が訪れ、選手たちが練習を始めると、彼女たちのスイングやチッピング、パッティングのボールタッチの秀逸さが話題を呼びました。ゴルフコース関係者、スポーツ省関係者、ゴルフ連盟関係者などが毎日のように見学に訪れるようになりました。
フルスイングのショットは当初、ボールをまっすぐに飛ばすのに苦労しましたが、徐々に慣れて真っすぐ遠くに飛ぶようになりました。見学者からは「信じられない!」「ゴルフを始めて3ヶ月でどうしてここまでできるんだい!?」「君たちはルワンダのために非常に素晴らしいことをしてくれている」「ありがとう!」「是非、引き続き、ルワンダの女の子たちのために、この活動を続けて欲しい」「是非、私の子供たちもあなた方に教えてもらいたい!」「私も教えてもらえないかい?」「この選手たちと是非、ラウンドをさせてもらえないかな?」「選手たちに教えてもらいたい!」といった多くの称賛の声が寄せられ、選手たちはゴルフコースのどこにいても声をかけられるようになりました。
【福島在ルワンダ日本大使との初ラウンドと公式サポートの開始(2024年11月13日)】
2024年11月13日、キガリGCにてシーローズ6名と福島大使、ヘッドコーチとのラウンドが実現しました。選手たちがゴルフコースを回り始めてまだ2週間も経っていないにもかかわらず、選手のうち2名は90台でラウンドしました。この様子は、在ルワンダ日本大使館の公式Facebookページにも記事として掲載され、日本大使館による公式サポートが始まりました;https://www.facebook.com/100067742561468/posts/on-november-13-2024-ambassador-fukushima-attended-a-pep-rally-of-women-golf-play/898473155754095/
【トーナメントや大会への本格的参戦(2025年1月〜)】
2025年1月、2月より、ルワンダ国内のイベントや大会に出場し、実戦トレーニングを開始しました。
クラブナイト(キガリGCイベント)初参戦: 優勝を含む上位6人をアカデミー選手が独占(優勝スコアは80台前半)。
この結果を受け、ゴルフ連盟からシーローズ(アカデミー選手6名全員)をルワンダ女子ナショナルチームにしたいというオファーがあり、それを組み込んだ新しいパートナーシップMOUを締結しました。
【主な大会実績】
ルワンダ・オープン(2025年2月): シルビ選手が初出場で最年少優勝!
IFFゴルフトーナメント(2025年2月): シルビ選手が76(グロス)でルワンダ史上女子最少スコアで優勝!クイーン選手が350m(ドラコン賞#16ホール)を記録。
Ecobankトーナメント(国際女性デー2025年3月): シルビ選手が優勝(ルワンダ国内3勝目)。
【海外トーナメント初参戦:成長のための貴重な経験(2025年2月〜)】
ナイジェリア・アマチュア・レディース・オープン(2025年2月、ナイジェリア遠征): ルワンダ女子国家代表として初の海外国際大会参戦。シルビ選手が14位(300名中)、バタムリーザ選手とクイーン選手が35位タイ。
US Kids ナイロビ・ローカルツアー大会(2025年3月、ケニア遠征): ルワンダ女子国家代表として2回目の海外国際大会参戦。シルビ選手が海外初優勝(今季通算4勝目)。
KLPGA(韓国女子ゴルフ協会)3部ツアー(ジャンプツアー)からの公式招待状: シルビ選手、クイーン選手、バタムリーザ選手が史上初となる招待を受ける。
KLPGA3部ツアー(ジャンプツアー)予選: アフリカ人として史上初参戦(シルビ選手、クイーン選手、バタムリーザ選手;予選敗退)。
シルビ選手(2025年5月〜7月): キガリGCでの大会で5月以降で3回優勝(今季通算7勝)。7月には自己ベストかつルワンダ女子最少スコアの74で優勝。
シルビ選手: キガリGCメンバーへのコーチングを開始。
【ルワンダ国内での露出UP・認知の獲得】
2025年3月6日に在ルワンダ日本大使館主催で開催された「日韓遠征の激励壮行会」の模様がRBA(ルワンダ国営放送)で放映され、主要新聞やルワンダ国内オンラインメディアなどにも掲載されました。これにより、空港などで選手たちが知らないルワンダ国民から「頑張ってね!」「応援してるよ!」と声をかけられることが増えました。コーチも「ありがとうございます!彼女たちをよろしくお願いします!」と、見知らぬルワンダ国民から敬意と感謝を受けるようになりました。
【日本からの投資家による視察と今後の資金政策】
日本からわざわざシーローズ(アカデミーの選手たち)を見学にやってくる日本人投資家も現れました。これにより、スポンサー募集一辺倒だった資金調達の視点が変わりました。今後は、寄付、クラウドファンディング(今後実行予定)、スポンサーシップ、インパクト投資家といった複数の融合型資金政策の必要性が認識されています。
■事業目的
【女性版タイガーウッズを発掘育成することで、アフリカに社会変革を起こす】 ①ルワンダを始めとするアフリカ諸国で、未だ発見されていない溢れる才能と情熱を持つ若い女子アスリートを発掘し、世界最高峰のゴルフコーチングを無償提供することで、その選手達の才能を開花させ世界クラスの女子プロゴルファーや女子プロコーチとして育成する、➁そのプロセスを通じて、ルワンダとアフリカでのゴルフの発展、特に女子ジュニアやユースへのゴルフの普及でスポーツ分野のジェンダー不平等の是正、及び、③ゴルフ関連産業と雇用を開発し、地域の安全や安心、平和に貢献する。
■主な活動領域
スポーツとジェンダー
■主な事業方法
人材育成
■事業成果
①ルワンダ(おそらく他のアフリカ諸国でも)類まれな身体能力を有し、スポーツに(ゴルフ)に興味を持つ若い女性アスリートは少なくないことが分かる。今回、面接した女性たち(18-23歳)の10人に1人位は、かなり突出した身体能力を有するアスリートが眠っている肌感を得た(最終的に、79人の面接から6名を採用_因みにゴルフ経験者は0人)ー>アカデミー選手6名全員がルワンダ女子ナショナルチームメンバーに選抜される(現在もナショナルチームメンバー)➁ そのうち3名を世界クラスの女子プロ選手候補とし、残りの3名を女子プロコーチの候補とした。女子プロゴルファー候補の3名はルワンダ国内や他のアフリカ諸国(ナイジェリア、ケニア)で活躍をした。特に、イラコゼ・シルビ選手は、ルワンダオープンを含む国内で今季6勝を上げ、ケニアでの国際ジュニア大会での優勝を含めて今季7勝を誇る。最近の優勝スコアは、77、78、74(ベストスコアは74の2オーバー)。③また、女子プロゴルファー候補の3名は、今年の5月にKLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)3部ツアーの予選会にアフリカ人(もちろんルワンダ人としても)として初参戦(結果は3人共に予選敗退)。韓国のツアープロの練習を間近で観察したり、彼女たちとの同組でのラウンドプレーをし、お金では決して買えない、成長の為に不可欠な貴重な経験を得ることができました。④KLPGA(韓国女子プロゴルフ協会)の副会長や、春川ゴルフ連盟会長など、韓国ゴルフ業界とのコネクションができたこと。KLPGA副会長は我々がオファーしたKLPGA4部ツアー(アフリカツアー)構想に非常に強い関心を持たれ、継続的なミーティングをすることで同意。また、春川ゴルフ連盟会長は、春川をアスリートのキャンプ地候補として売り込みたい思いが強く、次回以降、ルワンダやアフリカ諸国からKLPGAツアーに挑戦するときは、春川をキャンプ地に選んで欲しいと。もし、選んでくれたら、我々がKLPGA3部ツアー参戦のために韓国に連れて行くアフリカからの女子選手たちの身元保証人になることと、公式招待状を春川ゴルフ連盟の名前で発行すること、地元の韓国人女子ジュニアゴルファーとの練習ラウンドの機会をつくること、春川の3つのゴルフコースで最終組がスタートした後に9ホールのラウンドを無料プレーできることなど、破格のオファーしてくださいました。⑤同じく春川ゴルフ連盟会長の紹介で、韓国大手テレビ局のMBCの番組ディレクターにお会いし、現在進行中のルワンダ特集の次のテーマとして、2028年のロス五輪までの3年間、密着特集を組まして欲しいとのオファーもいただきました。仮に、オリンピックに行けなかったとしても十分に特集価値があると仰って頂きました。
■参加者や協力者の声
アカデミー選手「挑戦したのは生活のためだけではなく、スポーツが好きだから。ゴルフを通じて夢が広がった」「ルワンダを選び、女子選手に注目してくれてうれしい」「想像していなかった人生。米ツアーで活躍して、古里に井戸をつくりたい」ゴルフ業界関係者「信じられない!」「ゴルフを始めて3か月でどうしてここまでできるんだい!?」「君たちはルワンダの為に非常に素晴らしいことをしてくれている」「ありがとう!」「是非、引き続き、ルワンダの女の子たちの為に、この活動を続けて欲しい」「是非、私の子供たちもあなた方に教えてもらいたい!」「私も教えてもらえないかい?」「この選手たちと是非、ラウンドをさせてもらえないかな?」「選手たちに教えてもらいたい!」等々。
■課題や教訓
①資金政策(多様な資金政策;スポンサー募集一辺倒からの視点の変換。寄付・クラウドファンディング(今後実行予定)・スポンサーシップ・インパクト投資家の複数の融合型資金政策の必要性)
➁選手のモチベーションの中長期維持のための戦略と戦術(何のためにプロゴルファーになりたいのか?)
③収益事業を持つ(①だけに頼らない)ex)ゴルフ留学生の受け入れ、ゴルフ練習場の建設・運営など。
■事業関連WEBサイト
- 実施期間
- 2024年4月1日~2025年3月31日
- 実施エリア
- ルワンダ・ナイジェリア・ケニア・韓国・日本
- スポーツ種目/プログラム種別
- 女子ゴルフ
- 実施組織
- ゴルフシーローズマネジメント株式会社
- 協同組織
- ルワンダ スポーツ省・ルワンダ オリンピック組織委員会・ルワンダ ゴルフ連盟・在日ルワンダ大使館・在ルワンダ日本大使館・在ルワンダ韓国大使館・Sport Genix International (SGI) Limited社(ルワンダ現地パートナー)・BZA PR(米国PR戦略パートナー)
- 支援対象者数
- ルワンダ:193名 ケニア:3名



