筑波大学TIASによるオリンピック・パラリンピックのレガシーを活用した人材育成
【事業目的】
スポーツを「する」、「みる」、「ささえる」可能性がある人々が他者への尊重や異文化理解、多文化共生、非暴力、非差別などに対する理解を深めることをねらいとして、その基盤となる協力・協同、平等・公平、共感などを学ぶための取組を実施し、スポーツ国際協力を通じて、今後のスポーツ界を支える人材育成に寄与すると共に、持続可能な開発と平和に対してスポーツがなしうる貢献を具現化することを目的として本事業を実施した。
2021年度までの8年間で実施された取組や構築された官民協力体制を東京2020大会のレガシーとして継承すべく、「つくば国際スポーツアカデミー(TIAS)」およびその後継プログラムである「スポーツ・オリンピック学学位プログラム(TIAS2.0)」と「スポーツ国際開発学共同専攻(IDS)」の修了生及び在学生のネットワークを活用した。
【活動・事業内容】
① 国際フォーラムの開催
実施時期:2024年2月9日(金)
主な登壇者:筑波大学学長特別補佐清水教授、JSC岸理事、同大TIAS2.0プログラムリーダー深澤教授、TIAS修了生他
参加者:筑波大学大学院生・学群生、SFT関係団体
内容:国際フォーラムでは、SFT関係者や同学の学生が参加し、TIAS(Tsukuba International Academy for Sport Studies)の修了生2名を招聘し、日本で学んだことをそれぞれの国・地域でどのように活かしてスポーツ関連の仕事をしているか、また、そこでの課題は何かといった観点からの発表と議論を行い、さらに現役のスポーツ・オリンピック学学位プログラム(TIAS)2.0の在校生による自治体との交流イベントの視察・訪問結果なども共有された。それを踏まえ、参加者はスポーツ界の課題やその解決に向けた日本の役割について議論した。
Feb 9th 2024: TIAS post-2020 Legacy International Forum Report | TIAS2.0 (tsukuba.ac.jp)
② 交流プログラム
TIAS2.0の教員、大学院生とIDS(スポーツ開発学共同専攻)大学院生らが自治体との交流イベントに参加、また地域の小中学生を本学に招待して交流事業を実施、また、インド・ルワンダへの視察・交流を実施した。
プログラムが実施された各地においては、参加した児童・生徒や市民が、TIAS修了生等からオリンピックムーブメントやパラスポーツについて運動プログラムなども活用して学び、英語でそれらに触れることで、異文化理解や外国語への関心の向上に繋げた。運動プログラムでは、競争より全力を尽くすことや、公正、他者への尊重、協力する喜びなどへの気づきを促し、異文化圏の人々と共に活動することの効果を狙った。また、SDGsの「目標3:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を推進する」や「目標4:質の高い教育をみんなに」を体現した。また、交流プログラムは、「目標16:平和と公正をすべての人に」に向けて、その前提を理解することに繋げた。
(A) 茨城県常陸大宮市
【実施時期】2023年9月28日・10月12日
【参加者】常陸大宮市在住の小学校児童・教員、筑波大学大学院生・学群生(参加者:のべ320名)
【プログラム内容】運動プログラムを実施し、簡単な英語を交えて行った。
https://tias.tsukuba.ac.jp/2023/10/18/an-exercise-programme/
https://tias.tsukuba.ac.jp/2023/10/24/participated-in-an-event/
(B) 東京都文京区
【実施時期】2023年10月21日
【対象者】文京区在住の市民・外国人居住者、筑波大学大学院生・学群生(参加者:のべ491名)
【プログラム内容】文京区が開催する文化交流会に運動プログラムを提供するブースを設置、英語で交流した。
(C) 茨城県境町
【実施時期】2023年11月13日(日)
【対象者】境町町民(児童・生徒・保護者)、筑波大学大学院生・学群生(参加者:のべ33名)
【プログラム内容】筑波大学にハワイ大学の学生チームが来学する機会にあわせ、ホノルル市と友好交流都市になっている境町町民とのスポーツや国際交流の機会を設けた。
③ ホストタウン交流事業を担う人材がホストタウンとなった自治体やホストタウンとなった国へのスタディツアー
ホストタウン交流事業を担う人材がホストタウンとなった自治体やホストタウンとなった国(インド、ルワンダ、本学とオリンピック教育連携する大学がある台湾)へ赴き、交流事業を担う人材のさらなる交流、事業の展開に向けた具体案を検討・調整し、訪問地のニーズを探るスタディツアーを実施した。
(A) インド及びルワンダ
【実施時期】2023年10月~12月(2週間)
【対象者】現地のスポーツ教育・政策関係者、国内ホストタウンの住民
【プログラム内容】現地を訪問し、政府関係者や関係機関との意見交換を実施した。
(B) 台湾:國立台湾体育運動大学、國立台湾師範大学
【実施時期】2023年11月16日(木)~19日(日)
【対象者】筑波大学教職員、大学院生、國立台湾体育運動大学学長・教職員、学生、國立台湾師範大学教職員・学生(参加者:のべ31名)
【プログラム内容】
〇 國立台湾体育運動大学教育施設や体育施設の見学、許光麃学長への表敬訪問、オリンピック教育センターの見学
〇 國立台湾師範大学でのセミナーの参加、同大学生の発表(テーマ:オリンピック教育や2024年パリ大会に関する情報)
〇 同大教授と筑波大学教員のプレゼンテーション、学生を交えたディスカッションの実施
https://tias.tsukuba.ac.jp/tias2/2023/12/15/taiwan-study-tour/
(C) 福島県飯館村
【実施時期】令和5年12月16日(土)・17日(日)、令和6年2月18日(土)
【対象者】筑波大学TIAS2.0及びIDSの在学生16名、飯館村老人会
【プログラム内容】
ア)震災復興としても開催された東京2020大会レガシーの現状視察
〇 帰村を目的に整備された運動施設を含めた各種施設の視察
〇 原発事故以降の放射線の影響や村民の現状視察
〇 現地コーディネーターによるオリエンテーション
イ)スポーツ国際交流イベントの実施
URL:https://www.facebook.com/share/p/LF838NJzXzz36g5f/
【成果】
本事業を通して、学生や交流プログラム参加者の他者理解や異文化理解、他者との協働やそれを契機とした創造性を発揮する機会となり、SDG’sの目標4「質の高い教育をみんなに」に貢献することができた。
【参考URL】
【インタビュー・筑波大学 TIAS(前編)】国際的なスポーツ人材育成プログラムによるスポーツを通じた社会貢献とは?
【インタビュー・筑波大学 TIAS(後編)】オリパラ人材育成の重要なピース|福島県飯舘村でのスポーツを通した交流・2023年スタディーツアー報告
HP:TIAS2.0 | TIAS reborn TIAS2.0 (tsukuba.ac.jp)
Facebook:https://www.facebook.com/TIASofficial/?ref=embed_page
フランス ボルドー大学交換留学生
参加者からのコメント :
2011年の原発事故以降、自国内のメディアでも飯館村の報道や影響等を見聞きする機会があったが、実際に現地を視察し村民の方々と触れ合う中で、メディアで報道されている内容など含め多くの人たちが現状や影響を誤解している事を学ぶ事ができた。今後はこの地域に対する差別や偏見等をなくすために私も貢献していきたい。
- 実施期間
- 2023-2024
- 実施エリア
- 茨城県、東京都、福島県(日本)、台湾、インド、ルワンダ
- 実施組織
- 国立大学法人筑波大学
- 協同組織
- 東京都武蔵村山市、茨城県常陸大宮市、東京都文京区、茨城県境町、国立体育大学(台湾)
- 支援対象者数
- (1) 武蔵村山市第三小学校生徒:75名 (同校小学6年生) (2) 常陸大宮市小学校:297名(9月28日:150名、10月12日:147名)(市内4校の小学6年生)(3)Bunkyo Sports Park:496名(文京区内外、親子連れを含む未就学児、小学生、中学生) (4) Undokai:37名(筑波大学留学生を含む、大学生、大学院生) (5) 茨城県境町:35名(同町の小中学生) (6) 台湾:10名(国内裨益者)、25名(海外裨益者)(同国 国立体育大学、国立台湾師範大学、国立台北師範大学の3大学の教員3名の他、大学院生) (7) 福島県飯舘村:32名(同村の住民15名の他、筑波大学教職員、大学院生17名)(8) インド・ルワンダ:4名(国内裨益者)、インド:約115名、ルワンダ:約125名